猫はもともと単独生活者。多頭飼いには独特のストレスがかかります。「仲良く見える」けれど我慢している──そんなサインを見逃さないために、行動診療の知見をまとめました。
イエネコの祖先リビアヤマネコは砂漠の単独狩猟者です。同居猫がいる環境は「自然」ではなく、人為的な状況。仲良くなれる組み合わせもありますが、表面的に争いがなくても、片方が常に譲っていることはよくあります。
多頭飼いのストレス低減で最も効果的なのは「資源の分散」です。トイレ・水・食事・隠れ場所・上下空間を、猫の数+1個ずつ、別の場所に配置します。1か所に集中していると、優位な猫が独占し、他の猫が我慢することになります。
| トイレ | 頭数+1個、別の階・部屋に分散 |
|---|---|
| 水 | 頭数+1〜2か所、食事と離す |
| 食事 | 個体ごとに別場所、視線が交差しない位置 |
| 休息 | 高所・隠れ家を複数、互いに見えない死角 |
(1) 別室隔離:1〜2週間。においの交換から開始。(2) 視線越しの対面:ケージ越しに短時間。(3) 同空間での共存:ごく短時間から段階的に。各段階で唸る・隠れるが続けば前段階に戻ります。焦らないことが鉄則です。
過剰グルーミングで皮膚が見える、特発性膀胱炎を繰り返す、食欲低下が続くなどがあれば、まず動物病院で身体疾患の除外を。改善しない場合は獣医行動診療科の専門医にご相談ください。