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SERIES / 腎臓病連載 第5回 / 全12回 / 監修:【監修者調整中】

我が家でできる、5つの観察

血液検査は半年に一度、レントゲンも年に数回。けれど猫は毎日変化しています。家庭で続けられる5つの観察──飲水量・尿量・体重・毛づや・活動量──が、早期発見と治療の効果判定の決め手になります。

この記事の目次
  • 1. 飲水量──最も早く変化が出る指標
  • 2. 尿量と尿の状態
  • 3. 体重──月1回の記録を
  • 4. 毛づやと身づくろい
  • 5. 活動量と「いつもと違う」感覚
  • 6. いつ受診すべきか

1. 飲水量──最も早く変化が出る指標

健康な猫の1日あたりの飲水量はおおよそ体重1kgあたり40〜60mL。4kgの猫なら160〜240mLです。腎臓病が進行すると尿の濃縮力が落ち、その分多く水を飲むようになります(多飲多尿、第9回で詳述)。 毎日同じ計量カップで給水し、夜に残量を測るだけで十分です。継続的に体重1kgあたり100mLを超えるようなら受診の目安となります。

2. 尿量と尿の状態

システムトイレや吸水量が分かるトイレ砂を使うと、尿の量・回数・色を客観的に把握できます。腎臓病が進むと尿は薄く(色が淡く)なり、量が増えます。逆に脱水時には濃く、回数が減ります。 尿の塊の数や大きさを週単位で写真に残しておくと、変化を獣医師に伝える際に有用です。血尿・濃すぎる黄色・極端な少量はすぐに受診を検討してください。

3. 体重──月1回の記録を

体重減少はCKDの代表的な所見です。1か月で5%以上、3か月で10%以上の減少は要注意とされます。家庭用の体重計で猫を抱いて測り、自分の体重を引く方法でも誤差は許容範囲です。 赤ちゃん用デジタルスケール(10g単位)があるとより精密に追えます。月初の同じ曜日に測ると比較しやすくなります。

4. 毛づやと身づくろい

毛づやの低下、毛玉の増加、フケ──これらはCKDの脱水・栄養障害・QOL低下を反映するサインです。猫は調子が悪くなると身づくろい(グルーミング)の頻度が落ちます。 週1回ブラッシングしながら、毛の手触り・抜け方・体表の張りをチェックする習慣を持つと、変化に気づきやすくなります。

5. 活動量と「いつもと違う」感覚

ジャンプの高さ、遊びへの反応、寝場所の変化、鳴き方──飼い主だからこそ気づける小さな違いが、診察室では見えない情報を持っています。 「最近、棚の上に上がらない」「夜中に鳴くようになった」など、定性的な変化もメモに残してください。受診時に伝えると、検査値と組み合わせた解釈の精度が上がります。

6. いつ受診すべきか

飲水量の急増・尿量の急増・体重の急減・嘔吐の繰り返し・口臭の変化(アンモニア臭)のいずれかが見られたら、定期検診を待たず受診を検討してください。 シニア猫(7歳以上)は年2回の血液検査+尿検査が推奨されます。SDMA(第3回)の追加も相談する価値があります。

動物病院に相談を

家庭の観察記録は診察の重要な手がかりになります。気になる変化は早めにかかりつけの動物病院でご相談ください。

出典

  1. Sparkes AH, Caney S, Chalhoub S, et al. "ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Feline Chronic Kidney Disease." J Feline Med Surg. 2016;18(3):219-39.
  2. Pittari J, Rodan I, Beekman G, et al. "American Association of Feline Practitioners Senior Care Guidelines." J Feline Med Surg. 2009;11(9):763-78.
  3. International Renal Interest Society. "IRIS Treatment Recommendations for CKD." iris-kidney.com