血液検査は半年に一度、レントゲンも年に数回。けれど猫は毎日変化しています。家庭で続けられる5つの観察──飲水量・尿量・体重・毛づや・活動量──が、早期発見と治療の効果判定の決め手になります。
健康な猫の1日あたりの飲水量はおおよそ体重1kgあたり40〜60mL。4kgの猫なら160〜240mLです。腎臓病が進行すると尿の濃縮力が落ち、その分多く水を飲むようになります(多飲多尿、第9回で詳述)。 毎日同じ計量カップで給水し、夜に残量を測るだけで十分です。継続的に体重1kgあたり100mLを超えるようなら受診の目安となります。
システムトイレや吸水量が分かるトイレ砂を使うと、尿の量・回数・色を客観的に把握できます。腎臓病が進むと尿は薄く(色が淡く)なり、量が増えます。逆に脱水時には濃く、回数が減ります。 尿の塊の数や大きさを週単位で写真に残しておくと、変化を獣医師に伝える際に有用です。血尿・濃すぎる黄色・極端な少量はすぐに受診を検討してください。
体重減少はCKDの代表的な所見です。1か月で5%以上、3か月で10%以上の減少は要注意とされます。家庭用の体重計で猫を抱いて測り、自分の体重を引く方法でも誤差は許容範囲です。 赤ちゃん用デジタルスケール(10g単位)があるとより精密に追えます。月初の同じ曜日に測ると比較しやすくなります。
毛づやの低下、毛玉の増加、フケ──これらはCKDの脱水・栄養障害・QOL低下を反映するサインです。猫は調子が悪くなると身づくろい(グルーミング)の頻度が落ちます。 週1回ブラッシングしながら、毛の手触り・抜け方・体表の張りをチェックする習慣を持つと、変化に気づきやすくなります。
ジャンプの高さ、遊びへの反応、寝場所の変化、鳴き方──飼い主だからこそ気づける小さな違いが、診察室では見えない情報を持っています。 「最近、棚の上に上がらない」「夜中に鳴くようになった」など、定性的な変化もメモに残してください。受診時に伝えると、検査値と組み合わせた解釈の精度が上がります。
飲水量の急増・尿量の急増・体重の急減・嘔吐の繰り返し・口臭の変化(アンモニア臭)のいずれかが見られたら、定期検診を待たず受診を検討してください。 シニア猫(7歳以上)は年2回の血液検査+尿検査が推奨されます。SDMA(第3回)の追加も相談する価値があります。
家庭の観察記録は診察の重要な手がかりになります。気になる変化は早めにかかりつけの動物病院でご相談ください。