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SERIES / 腎臓病連載 第8回 / 全12回 / 監修:【監修者調整中】

補液(皮下点滴)の実際

CKDの猫がステージ3〜4に進むと、しばしば登場するのが「皮下点滴(補液)」です。脱水を補い、尿毒素の排泄を助ける処置で、在宅で続けるケースも増えています。方法・頻度・必要物品を整理します。

この記事の目次
  • 1. 皮下点滴とは何か
  • 2. 投与量と頻度の目安
  • 3. 在宅ケアは可能か
  • 4. 必要物品と手順の概略
  • 5. 中止・受診を検討する兆候

1. 皮下点滴とは何か

皮下点滴とは、首〜肩甲骨の間の皮膚の下に輸液(多くは乳酸リンゲル液など)を注入する処置です。皮下のスペースに溜まった輸液は数時間かけてゆっくり吸収され、循環血液量を補い、腎臓を経由して尿毒素を排出します。 静脈点滴に比べて手技が比較的容易で、猫への負担も小さいため、CKDの中後期では標準的な選択肢になっています。

2. 投与量と頻度の目安

投与量は体重1kgあたり10〜20mLが一般的で、4kgの猫なら1回40〜80mL程度。頻度はステージや脱水度合いに応じて、毎日・隔日・週2〜3回などさまざまです。 過剰投与は心不全・胸水のリスクがあるため、必ず獣医師の指示量を守ります。心疾患を併発している猫では特に慎重な調整が必要です。

3. 在宅ケアは可能か

多くの動物病院では、飼い主が在宅で皮下点滴を行えるよう手技指導を行っています。通院ストレスを減らせる、頻回の投与が可能になる、コストが抑えられるなどのメリットがあります。 ただし、衛生管理(針の使い回しは禁止、刺入部の消毒)と、針刺しによる事故への注意が前提です。「自分には無理」と感じたら遠慮なく病院に通う選択肢を持ち続けてください。猫との関係性を悪化させてまで続けるべきではありません。

4. 必要物品と手順の概略

輸液パック動物病院で処方(多くは乳酸リンゲル液 500mL/1L)
輸液ライン使い捨て、定期交換
翼状針 or 注射針21〜23G。1回ごとに新品を使用
消毒用アルコール綿刺入部の消毒
保温冷たい輸液は猫が嫌がるため、人肌程度に温める

手順の詳細(刺入角度、エアー抜き、投与後の止血など)は、必ずかかりつけ獣医師の実地指導を受けてから行ってください。動画教材だけで自己流に始めるのは推奨されません。

5. 中止・受診を検討する兆候

呼吸が速くなる、咳が出る、刺入部が腫れて引かない、皮膚壊死、急な元気消失──これらが現れたら投与を中止し、すぐに連絡してください。 また、猫が極度に嫌がりストレスが大きい場合は、頻度の見直しや別の緩和ケアへの切り替えを相談する価値があります。「補液=絶対善」ではなく、QOL(第7回参照)の中で位置づけ直す姿勢が大切です。

動物病院に相談を

皮下点滴の投与量・頻度・実施可否は個体差が大きく、必ずかかりつけの動物病院でご相談ください。在宅で行う場合も実地指導を受けてから始めてください。

出典

  1. Sparkes AH, Caney S, Chalhoub S, et al. "ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Feline Chronic Kidney Disease." J Feline Med Surg. 2016;18(3):219-39.
  2. Cooper RL, Labato MA. "Peritoneal dialysis in veterinary medicine." Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2011;41(1):91-113.
  3. International Renal Interest Society. "IRIS Treatment Recommendations for CKD." iris-kidney.com